第13回全国首長連携交流会報告(概要)


↑2日目 分科会の様子

平成20年5月9日から11日にかけて、政策研究大学院大学(港区六本木)において、第13回全国首長連携交流会が開催されました。
首長本人48名の参加をはじめとして、200名以上の参加のもと、盛会な会合となりました。また、会の総括として、「第13回全国首長連携交流会 大会アピール」が採択されました。

 

第13回全国首長連携交流会 大会アピール
平成20年5月10日

我々、第13回全国首長連携交流会に参加した48名の首長は「豊かな分権社会」の実現に向けて、「現場にこそ真実がある」という認識の下、パネルディスカッションや八つの分科会で真摯かつ自由闊達に討議を行った。
平成の大合併と三位一体改革が進み、様々な制度の問題点が浮き彫りになっている中で、本当の意味で豊かな地域を醸成していくためには、有志市町村長がリーダーシップを取り、国と市町村、市町村と住民との協働を進める「新たなる公」の概念で乗り越えていくしかないと考える。
以下に、本会の各会合の成果をまとめ、広く関係者にアピールするものである。

第一分科会 地方分権
(1) なぜ地方分権か、国民に分かり易く提示すべきである。それは、国民負担を減らすため、国民が行政サービスと負担の関係を選択できるため、責任を取らされる国民が判断できるようにするためである。
(2) 今始まっている新しい時代は、多様なまちづくり、住民福祉のあり方を尊重する社会の時代である。それは、地方主権国家である。その際、ナショナルミニマムの確保、及びスタートラインを正しく設定することが必要である。
(3) 住民との協働のまちづくり、ボランタリーと連携する自治体は、地方主権国家を意味するものである。
(4) 地方自治体のマンパワーの育成は、地方分権の確立のために急務である。

第二分科会 川の駅
(1) 全国各地で「川の駅」がつくられ始め、国が参加しての社会実験も行なわれるようになり、「川の駅」の意義が理解されるようになってきた。「川の駅」は上中下流の交流連携を行なう仕掛けであり、教育、防災、環境、健康増進、福祉等、政策を担えるプラットフォームであることも確認された。
(2) これらを踏まえ、全国の市町村長を中心とした支援推進組織である「市町村川の駅推進協議会」と川の駅活動の実行組織である「全国川の駅推進実行委員会」の立ち上げの必要性を確認した。

第三分科会 医療・福祉
(1) 地域医療の担い手の育成は、家庭医の育成がキーワードである。制度改革と併せて、家庭医の育成に連携して取り組む。
(2) 「健康の駅」づくりは、「健康のまちづくり」につながる。住民の多様な相談をうけ、地域の健康資源を振り分ける新しい「健康の駅」のあり方も検討する。

第四分科会 教育
(1) 首長は、地域の子どもを預かる立場から、教育内容以外の教育行政面に積極的に関わるべきである。
(2) 現行の教育行政制度を、地域の現状に合わせて最大限に応用して運用すべきで、独自の仕組みを探っていくことが必要である。
(3) 教育環境向上にむけて、教育に関わる制度の柔軟性や、自由度の大きい制度づくりを進めていきたい。
(4) 学校と地域の連携事業を継続的に成功するためには、現場の担当職員や、地域住民の関心を高め、やる気にさせる必要がある。そのための努力を積み上げていきたい。

第五分科会 CSR・環境問題
(1) 地方自治体も「行政市民」として社会的責任を負うべきである。先進的な取組をしている企業(企業市民)から環境経営を学ぶ事が重要である。
(2) 社会・地域貢献をしたい企業を支援し、これを実現させるのが行政の役割。支援体制や情報提供を充実させる。
(3) 理解しあえる土壌が必要。企業、行政、市民のコミュニケーションづくりを促進したい。これら3者が協働で地域社会への貢献に取り組む仕組みとして「地域共生協定」という概念をつくり、その活動をすすめたい。

第六分科会 農業・農山村
(1) 農業は国の根幹にかかわる問題であり、全体として農業・農山村問題を議論したい。
(2) 農業・農山村の最大の問題は過疎問題である。これは、小手先の議論では解決しない。国策で推進された稲作・林業の衰退が根源的な問題であり、10年後を見据えた根本的対策が必要だ。国は、細かい事業は基礎的自治体に任せ、根本的対策に集中して取り組むべきだ。
(3) 合併により過疎法の適用から外れた場合、新自治体内の「限界集落」(「水源の里」)への支援が困難になる。過疎法を継続させるとともに、これをフォローする取り組みが必要だ。
(4) 都市農村交流の推進のために、我々は都市に出向きニーズの把握等の自助努力を行う。それと同時に、交流を支える安価な交通手段確保の研究・実践を行う。

第七分科会 人材・担い手創造
(1) 自治体職員は、楽しいまちづくりには欠かせない存在である。住民に感謝される活動は、そのまま職員の自己実現でもある。我々首長も、自ら何ができるかを再度考え直し、職員に「背中でみせる」人間でありたい。
(2) 「自助・公助・共助」の考えは、まちづくりの基本であり、この概念について市町村で議論を深める。
(3) 公民問わず、高い意識を持った主体が(トイレ・休憩、まち案内等の機能)を提供している「まちの駅」は、「協働のまちづくり」を実践する運動の核となり得るものであり、「新たな公」の一部として位置づけることができる。これを、積極的に支援・導入する。

第八分科会 特別分科会
(1) 国と市町村の職員の間に存在する壁を取り払っていく必要がある。本会の参加者同士をベースにインターネットなどを通じ、継続して話し合いの場を持っていくことを申し合わせた。
(2) 市民が公的な活動する場合、法律で規制されていないにもかかわらず、行政の矮小化した判断で制限されてしまい、障害になるケースが多々ある。こうした障害を排除し、乗り越えていくため、行政の側でも積極的に市民の公的活動を促進する方策について研究する。

第13回全国首長連携交流会参加首長一同

*地方消費税の導入について、参加者の80%の首長が賛成であり(条件付き含む)、地方消費税の導入の可否について論議を行うこととなった。会の開催に当たり、顧問に北川正恭氏(早稲田大学大学院教授)、会長に森 民夫 長岡市長(提言・実践首長会会長)、森 真 各務原市長(本会会長)を候補に今後調整を行う。