写真:2日目全体交流会 全体意見交換Ⅰの様子 |
※ 左から、横道清孝 氏(政策研究大学院大学教授、逢坂誠二 氏(衆議院議員/元ニセコ町長)、後藤國利氏(臼杵市長)、穂坂邦夫氏(NPO法人 地方自立政策研究所 理事長/元 志木市長)、今井 宏 氏(衆議院議員/元 草加市長) |
第12回全国首長連携交流会連携交流会 報告(概要) |
平成19年5月11日から13日かけて、東京都港区の政策研究大学大学院大学にて、第12回全国首長連携交流会が開催されました。今回も、市町村長本人出席56名をはじめとして、200名以上の参加者を得て、中身の濃い議論と交流を行うことが出来ました。 初日の全体交流会においては、伊吹文明 氏(文部科学大臣)よりご挨拶を頂いた後に、糠谷眞平氏(国民生活センター 顧問/元 経済企画庁事務次官)、板東久美子氏(内閣府男女共同参画局長)から基調講演を頂きました。 また、「現場発の教育改革の実践へ向けて」と題し、初日は教育をメインテーマに据えたパネルディスカッションを行いました。こちらには、石田 芳弘氏(前 犬山市長)から基調提言を頂いた後に、藤田英典氏(国際基督教大学教授)、岡本薫氏(政策研究大学院大学教授)、布村幸彦氏(文部科学省大臣官房審議官)、森真氏(各務原市長)、宮下裕氏(善通寺市長)をパネリストに迎え、森民夫氏(長岡市長)の司会のもとで、白熱した議論が展開いたしました。 懇親会には、長島忠美氏(衆議院議員/元山古志村長)によるご挨拶を頂くとともに、各地からのお土産のご紹介・試食・試飲などが行われました。 二日目は、午前に、行財政改革、教育、医療・福祉、観光、コミュニティ政策についての分科会や、昨年に引き続き市町村職員と中央省庁若手(自称含む)による交流会をメインにした特別分科会が開催されました。 午後の全体交流会では、各分科会からの報告に加えて、前半で「分権と地域経営力」と題した意見交換会を行い、横道清孝 氏(政策研究大学院大学教授 ※コーディネーター)、逢坂誠二 氏(衆議院議員/元ニセコ町長)、後藤國利氏(臼杵市長)、穂坂邦夫氏(NPO法人 地方自立政策研究所 理事長/元 志木市長)、今井 宏 氏(衆議院議員/元 草加市長)にご登壇を頂き、各々の立場からの地方分権と地域経営についてお話を頂きました。また、後半には、「駅」をテーマに、各中央省庁の関連施策の紹介とその連携の議論が行われました。こちらには、木村昌司氏(国土交通省道路局道路・防災課長)、小俣篤氏(国土交通省河川局河川環境課河川環境保全調整官)、樽見英樹氏(厚生労働省県境局健康対策推進官)、池内幸司氏(内閣府地震・火山対策担当参事官)、杉浦久弘氏(文部科学省スポーツ・青少年局企画・体育課企画官)、重田雅史氏(国土交通省総合政策局観光地域振興課長)、渋谷和久氏(国土交通省九州地方整備局総務部長)が登壇し、石川治江氏(NPO法人ケアセンターやわらぎ代表理事)のコーディネートのもと、白熱した議論が展開されました。 また、会の総括として、大会アピールが採択されました。 最終日には、会場周辺にこの1年以内に出来た施設の視察を行いました。まず、東京ミッドタウンでは、三井不動産公共法人営業グループの方々のご協力のもと、施設の見学を行いました。その後、国立新美術館に移動し、館長の林田英樹氏から施設の概要についての説明を頂いた後に、館内の見学を行いました。 |
第12回全国首長連携交流会 大会アピール |
我々、第12回全国首長連携交流会に集う首長は、「地方分権改革の灯を消さない」という想いを共有し、多様性のある「豊かな分権社会」の実現に向け、「地方分権が日本のイノベーションになる」という認識のもと、全体討議と分科会での議論を真摯に行った。 そして、我々市町村こそ、総合行政の府として縦割り行政の弊害を脱却し、現場の実態に応じた効率的な行政を実現できるとの認識で一致し、各自治体は、自らの置かれた条件のもとで最大限の力を発揮することを確認した。以下に、会合の成果を踏まえ、広く関係者にアピールするものである。① まちづくり、くにづくりは、中央政府、地方政府、および民間団体等の協働によって実現される。有志首長会としては、これら主体の意見交換および協議の場として、有志の国会議員・知事・市町村長・国関係者からなる仮称「まちづくり、くにづくり懇談会」を継続開催する。② 地方分権は豊かなまちづくり、くにづくりの要であり、有志市町村長の勉強交流会を進めるとともに、あらゆる分野で地方分権に基づく実践活動を進めていく。また、一致団結して、国への要望を続けていく。このような活動をすすめるためには、地方のレベルアップが必要であり、市町村長および行政職員は自らの研鑽に努めるものとする。③ 行財政改革は市民のために行なうものであり、行財政の実態について、市民に対する情報公開に一層努めていく。このために、予算、決算について、市民にわかりやすく説明できる公開手法を開発していくものとする。 ④ 教育問題は、学校、教育委員会だけでは解決できない多様なテーマを抱えるようになった。まちづくりの総括責任者として、市町村長自身が一層教育分野に関心を持ち、学校をサポートする活動を展開し、家庭、学校、地域の連携の仕組みを作り上げていくこととする。 ⑤ 子ども達の自然体験、社会体験の機会を増やして、やさしさ、思いやりのある豊かな人間を育てる。このために、山、川、海で子ども達を指導する自然体験協議会(CONE)、川に学ぶ体験協議会(RAC)等と連携していくとともに、河川管理者や文部科学省等と市町村、首長部局と教育委員会・教職員との情報交換および交流の機会を増やし、実践活動に結びつけていく。 ⑥ 有志市町村で取り組んだ健康の駅は、各地にモデルができてきた。また、健康の駅推進機構は、厚生労働省が進める健康増進国民運動の推進主体の候補の一つにもなっており、健康の駅に関わる研究を進めるとともに、健康の駅に取り組む有志市町村の連携を深めていく。 ⑦ 地方における医師不足は危機的状態になっており、その解決に向けて、当会として、早急に重点的に取り組むこととする。また、少子化の時代、地域における子育て支援は重要である。その際、施設以上に人の育成が大切であり、人材育成に取り組んでいく。 ⑧ 観光事業促進のためには、着地型で地域の個性ある資源をアピールすることが必要である。観光形態は、団体から個へ移行し、ハード整備よりも人づくりの時代になってきた。一つの例として、市町村の誇れる魅力ある資源が集まる拠点をまちの駅として位置づけ、地域づくりとともに、地域観光力向上に努めることとする。 ⑨ まちづくり、くにづくりには地域コミュニティの形成が重要である。その中で、地域の基本ユニットの一つである消防団は重要であり、市町村行政として市民参加の健全な自主防災システム作りに取り組む。 ⑩ 地域コミュニティ形成にあたっては、楽しいこと、儲かることなど、住民の意欲をそそる内容で、住民自身が関心を持つ取り組みが進むよう、行政は温かく見守ることが重要である。これらの活動を進めるためには、活動の拠点あるいはコミュニティをつなぐ中間支援組織の役割が重要である。まちの駅は、その重要な機能を果たすと期待されるものであり、有志市町村で積極的に取り組んでいく。 ⑪ 道の駅、まちの駅、海の駅に加えて、川の駅、健康の駅、学びの駅等、多様な駅が生まれてきた。これらの駅は、まちづくりの現場における開かれた空間である。防災や子どもの見守り等のために、これらの駅を活用、協力、連携することで、広域的コミュニティ形成に大きく貢献すると考えられる。そこで、有志市町村長が中心になって、駅間の連携を進めるための連絡協議会を立ち上げていく。 平成19年5月12日 |
第12回全国首長連携交流会 分科会討議まとめ |
第1分科会 行財政改革分科会 地域経営・数値公開手法について考える ~借金依存体質からの脱却、新経営管理手法の提案など~主権者である市町村民のために、地方自治体を経営体としてとらえ効率的経営を行い、施策を展開していくことは、首長の責務である。これを前提に、次のようにまとめた。1. 行政改革を進めるには、市民・職員に理解を求めながら進めていくことが不可欠である。そのために、財政力及び施策成果の過去・現在・未来を比較できるバランスシートは重要である。また、家計簿レベルに落とし込むなど、分かり易い資料づくりも重要である。 2. お金や人を縮小するだけではその先に未来は無い。経費は縮小しながら未来への投資を行うという発想も必要だ。市町村の未来を描いた上で効率的な自治体をつくる必要がある。 3. 国も市町村も財政は危機に瀕しており、夕張の財政破綻は他人ごとではない。国の流れがどこに行くのか見えない中で成り行きに身を任せるのではなく、流れを自らの力で創り出す決意と自己責任で独自に市町村の経営改革を進めていかねばならない。 4. 改革に反対する関係者が出てきても、市町村民のための行財政改革であることを常に意識していなければならない。首長として戦い続け、なおかつ生き残り成果を生む責務がある。それを忘れず改革を進めよう。第2分科会 教育分科会 連携による体験教育の推進と市町村行政の教育支援を考える ~流域連携による川活用と体験教育指導員の養成策を考える~ 1. 学校教育、社会教育、環境教育など、トータルの教育力を高める必要がある。学力の向上を基本にしつつ、どういう子どもを育てていきたいかを明確にする必要がある。子ども達の自然体験、社会体験の機会を増やして、やさしさ、思いやりなどのある豊かな人間形成を目指す。 第3分科会 医療・福祉分科会 1. 多様な健康増進拠点(健康の駅)とプログラムについて 第4分科会 観光分科会 1. 地域の日常が、都会の人にとっては非日常である。地域で埋もれている資源を住民自らが発見し、磨き上げることで魅力的な地域固有の観光資源にする。磨き上げられた観光資源を地域内では情報共有を図り、地域外に対しては積極的にアピールすることが各市町村共通の課題である。 第5分科会 コミュニティ政策分科会 1. まちづくり活動は、行政がどんなお膳立てをしようが、住民に意欲がなければ進まない。防災・防犯は比較的住民が乗りやすい分野ではあるけれども、やはり住民に意欲がなければ、いざという時に全く動かない。 第6分科会 特別分科会 自治体の職員と国の官僚が対等な立場で議論ができる雰囲気づくりを行い、お互い「熱い」関係づくりを行う。そのことを前提に、次のような意見交換を行った。 1.警察、消防、教育などは、市町村に権限を持たせるべきとの議論もある。その際、権限と責任は一緒に持つことが必要である。現在の地方分権は、権限が国から地方に移譲されたことを必ずしも自治体が認識していないと考える国の官僚もおり、また、国は地方に分権したことで責任逃れをしているのでは、という意見もある。 |
大会宣言 PDF版(40KB) |
第11回全国首長連携交流会 プログラム・名簿(646K) |